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アンテナの感度

新川教室

夏からずっと続いていた映画熱も、

ジム・ジャームッシュ監督の最新作『パターソン』を観たことで、

ようやく一段落ついた気がする、新川教室の吉田です。

 

新宿のシネマカリテというミニシアターで鑑賞したのですが、

僕の左隣の席のご老人は、胃の調子が悪いのか、

胃袋から込み上げてくるガスを始終けぷけぷと吐き出していらっしゃいましたし、

右隣の席のおじさまは、スマホを手に持ち、

定期的にラインをしていらっしゃるようでしたので、

いかほど注意して差し上げようかと、静かな怒りを秘めつつタイミングを見計らっていたのですが、

ふと彼の手首から二の腕にかけて、

見るもステキな紋様がその皮膚(の下)に直接ペイントされているのを認めることができましたので、

よし、スクリーンに集中するぞ!と、

左右に強力なATフィールドを展開し続けることとなった1時間58分でした。

 

なんだかいつもの3倍くらい疲れた映画鑑賞でしたが、

観終わってまず思ったのは、

「ジム・ジャームッシュは遂に、ヴィム・ヴェンダースの域に達したかもしれない」

ということでした。

「ヴェンダースは “空気” を撮る監督」というのが僕の評価ですが、

『パターソン』のエンドロールが流れる中、

そのような心地良い余韻に浸っている自分がいました。

10月9日のことでした。

この日、2017年の夏が、僕の中で完全に終わりを告げたのでした。

 

夏が終わり、映画熱が下がると、かわりに読書熱が高まってきました。

「映画の夏」のあとは、「読書の秋」というわけですね。

いやあ、わかりやすい。

 

ただ最近は、自分が読みたい本、ではなく、

「誰かが好きな本」を読むようにしています。

そうすることが、なぜか、今の自分にとって必要であるような気がするからです。

 

宮下奈都『スコーレNo.4』

東野圭吾『手紙』

村田紗耶香『コンビニ人間』

乙野四方字『僕が愛したすべての君へ』

最果タヒ『十代に共感する奴はみんな嘘つき』

西加奈子『サラバ!』

 

自分の趣味で選んでいたら、100%読んでいなかったであろうラインナップ。

様々な発見があって、面白いですね。

とりわけ『コンビニ人間』と『僕が愛したすべての君へ』は、

どちらも中3の生徒から聞いた作品なのですが、

とても興味深く読むことができました。

 

善かれ悪しかれ、時代をもっとも反映するのは十代の若者たちです。

彼らの感性を、見縊ったり、見誤ったり、見損なったりしないよう、

アンテナの感度はつねに高く保ちたいものです。

 

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