空飛ぶ魔女、下から見るか? 横から見るか?
こんにちは。気がつけばアニメの話ばかりしているような気がする、新川教室の吉田です。
というわけで、『メアリと魔女の花』を観ました。
スタジオジブリで『借りぐらしのアリエッティ』と、
『思い出のマーニー』を手掛けた米林宏昌監督の、
独立後、初の監督作品です。
キャラの絵がもう宮崎駿監督のそれとそっくりなため、
『メアリ~』をジブリ作品と勘違いしている人も多いようですが、
あくまでスタジオポノックという、ジブリとは別の制作会社の作品ですので、
お間違いのないようご注意ください。
さて、『メアリと魔女の花』です。
キャッチコピーは「魔女、ふたたび。」
……ふたたび?
宮崎駿監督の絵柄そっくりの少女に、魔女とくれば、
誰しも『魔女の宅急便』を連想しないわけにはいきませんよね。
僕もジブリ作品と比較して鑑賞することを余儀なくされることとなりました。
ふむ。
ふむむ。
なるほど。
是も非もなく、ジブリ的要素満載です。
ラピュタっぽいなーとか、
千ちひっぽいなーとかのオンパレード。
無意識なのか、それとも意識的にやっているのか、それはわかりませんが、
しかし、というか、だからこそ、
宮崎駿監督と、米林監督との差異が、
物語が進むにつれ、くっきりと浮き彫りになってくるのでした。
まず第一に、
宮崎駿監督は、魔法の存在を信じている。
(少なくとも、あったらいいなと思っている)
米林監督は、魔法の存在を信じていない。
(少なくとも、なくてもいいかなと思っている)
第二に、
宮崎駿監督は、少女の処女性(≒純真無垢さ)を信じている。
(少なくとも、あったらいいなと思っている)
米林監督は、少女の処女性(≒純真無垢さ)を信じていない。
(少なくとも、なくてもいいかなと思っている)
両者の違いは、ヒロインの在り方にはっきりと表れています。
すなわち、
『魔女宅』のキキは「魔女である女の子」だったのに対し、
『メアリ~』のメアリは「魔女になる女の子」であるという相違です。
この差は小さいようでいて、大きい。
なんというか、クリティカルな違いですね。
ここに両監督の、ファンタジーなるものに対するスタンスの決定的な違いを見てとることができます。
どちらが良いとか、悪いとかの問題ではありません。
ただ違う、というだけです。クリティカルに。
この夏はもう一本楽しみなアニメ映画があります。
『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』
25年ほど前、岩井俊二監督が作ったテレビドラマのリメイクです。
『まどマギ』や『物語シリーズ』を手掛けた監督&アニメ制作会社なので、
かなり期待が高まっています。
8月18日、公開です。
あと一ヶ月ちょい。
待ち遠しいですね。