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特別な本、本は特別

新川教室

こんにちは。いまだ読書熱の冷めない、新川教室の吉田です。

 

前回のブログでは、「僕でない誰か」にとって大切な一冊を読んでいるというお話をしましたが、

その流れも、西加奈子の『サラバ!』を読了したところで一段落。

なにせ『サラバ!』が上中下巻合わせて1000頁弱という大作でしたので、

ちょっと疲れてしまったんですね。

そこで疲労回復もかねて、そろそろ自分の好きな物語を読もうと思ったわけです。

 

村上春樹『女のいない男たち』

安部公房『箱男』

ジョセフ・コンラッド『闇の奥』

スコット・フィッツジェラルド『冬の夢』

フランツ・カフカ『城』

 

とりわけ安部公房作品は、高校生くらいのときにどっぷり浸かった世界であり、

(良くも悪くも)様々な感慨にふけりながら読み返しました。

 

僕はあんまり同じ作品を読み返さない方なのですが、

『箱男』は今回で都合3度目の読了となります。

同一作品で3周したのは、他には村上春樹の『風の歌を聴け』と、

サン・テグジュペリの『星の王子様』だけです。

 

これらに共通するのは、「物語の内容が思い出せない」ところです。

何度読んでも、中身を忘れちゃうんですね。

まあ、『風の歌』には歌詞もメロディーもないわけだし、

『箱』の中身は空っぽと相場は決まっているし、

『王子様』はどこまでいっても無表情ですから、

当然と言えば当然と言えるかもしれません。

(王子様の能面っぷりは、あくまで挿絵のせいにすぎませんが……)

 

というわけで、この3作品は僕の中で “殿堂入り” を果たしています。

こんなふうに、「めちゃくちゃ感動した!」とか、「読んで人生観が変わった!」

というわけでもないのに、

自分にとって “特別な作品” というのが生まれることがあるんですね。

 

だからやっぱり「本」という媒体は、

捨てることも売ることもできないなあ、、、

(実際、捨てたり売ったりしたことないです。漫画も)

としみじみと思う、秋の夜長なのでした。

 

 

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