That is the question
こんにちは。
吉祥寺の𠮷田です。
先日、ひょんなことから『STEAK (R)EVOLUTION』という、10年ほど前に制作された映画の存在を知りました。
監督のフランク・リビエラという仏人が、最高のステーキを求めて世界中を巡るドキュメンタリー映画です。
これは興味深い!と思い、さっそく配信サブスクをチェック。
すると、アマゾンプライムで配信していることがわかり、即視聴することとなりました。
作中では、世界トップ10のステーキレストランが紹介され、日本の「築地さとう」(吉祥寺でメンチカツが有名な「さとう」の本店)が第3位にランクインしておりました。
ただし、どちらかといえば、そのレストランで扱っている牛肉のランキングという感じで、あくまで主役は牛肉というコンセプトだったように思います。
「最高の牛肉」の定義は難しいところですが、僕の中では、
・未経産(出産したことのない)の2〜3歳の雌
・グラスフェッド(牧草だけで飼育した牛)
・と畜してから2週間ほどの熟成
これらは全て、グルメ漫画の金字塔『美味しんぼ』で得た知識です。
僕にとってこの漫画は食に関する聖書のようなものなので、自分の舌で確かめたこともないのに、右の条件を満たした肉が最高のものと信じて疑っておりませんでした。
ところが、です。
『ステーキ・レボルーション』で世界1位に輝いた牛肉は、これらの条件を全て覆すものだったのです。
──ルビア・ガジェガ。
スペインの片田舎にある「ボデガ・エル・カプリッチョ」が提供する牛肉です。
ルビア・ガジェガたる要件は、
・経産牛(出産したことのある)の14〜15歳
・飼料は、穀物と飼葉
・ドライエイジングで200日の熟成
とのことで、うーん、すべてが文字通り革命的です。
特筆すべきは、やはりその年齢でしょうか。
牛の平均寿命は20歳前後らしいので、ルビア・ガジェガになる牛が、いかにきめ細やかにケアされ、大切に育てられているかが容易に想像されます。
(だって、規定年齢に達する前にその牛に何かあったら、ルビア・ガジェガになれませんからね)
その肉は、もう見た目からして我々がおいしそうと思うものとはかけ離れています。
赤身の色が濃く、脂身は黄色がかっていて、まるでスペインの生ハム「ハモン・イベリコ」を彷彿とさせます。
作中にて「和牛よりうまい」とはっきり明言されたルビア・ガジェガ。
この映画が公開された当時は、日本では絶対に食べられないものでした。
しかし現在は、2年前にスペインからの輸出が認められたことで、わずかながら日本にも輸入されているようです。
試みに検索してみると、確かに販売サイトがありました。
そして、確かに高級だけれど、松阪牛のシャトーブリアンみたいに手が出せないほどではない。
うーん……
高齢牛、長期熟成、世界一……
一度は味わってみたい……
僕のこの葛藤を見透かしたかのように、世界第10位のレストランシェフは高らかにこう叫びます。
To beef, or Not to beef!!
──と。
まさに That is the question. の境地です。