MERU/人生フルーツ
Believe in the impossible
こんにちは。
武蔵野進学セミナー武蔵小金井教室の川原です。
先日、『MERU』という映画を見ました。
メルー、という難攻不落の山の登頂に挑む登山家たちの映画でした。
登山家自身による記録映像が中心のドキュメンタリー映画ですが、
私に響いたメッセージは、次のようなもの。
技術の蓄積と継承。
全てを押し流そうとする現実のなかで、何を拾い上げ、何を投げ捨てるか。
失敗と喪失から、何を教訓として学び取るか。
私の人生に深い影響を与えた『荒野へ』の著者であるジョン・クラカワーが
語りで参加しているのも、
大きなポイントでした。
また別の日に、別の映画を見ました。
『人生フルーツ』。
愛知県のニュータウンの一角に住む老夫婦。
雑木林に囲まれた平屋建ての一軒家。
そこで、夫婦は四季折々の野菜や果物を育て、それをすてきなごちそうに変えていく。
自然のなかの暮らし。
東海テレビドキュメンタリー劇場作品。
ナレーターは、樹木希林さん。
このお話に登場する老夫婦のご主人は、建築家。
戦後、日本住宅公団で、阿佐ヶ谷住宅や多摩平団地などの都市計画に携わった方。
そして、自らがその一角に住まうことになる愛知県の高蔵寺ニュータウンを計画するのですが、
驚くべきは、
高度経済成長期の1960年代に、
里山の思想を盛り込んだニュータウンを実現しようとしたところ。
時代に先駆けすぎたその思想は、当然、実現せず。
風の通り道となる雑木林を残し、自然との共生を目指したニュータウンの夢ははかなくもつぶされ、
「かまぼこ板をたくさん敷き詰めて並べた」ような、凡庸で無機質な団地が出来上がってしまいました。
その現実を見て、この建築家の方は、
自らが設計した、その高蔵寺ニュータウンの一角に土地を買い、自給自足の半農生活を始めました。
また、近隣のはげ山にクヌギやコナラの植林を行い(「どんぐり作戦」)、里山へと再生させていきました。
「人間らしく。」とは何か、という願いや理想は、
利益や効率を優先する組織や社会のなかでは、到底かなえられるべくもなく、
だから、その理想を個人の営みのなかに持ち込んで、
ほんとうに大切な問いを、静かにゆっくりと育て上げていった。
そんな構図を、受け取りました。
いろいろなことから、さまざまなことを学びます。