縮図
武蔵野進学セミナー
中町教室の根本です。
算数の授業で縮図について取り組んでいた時のことです。
その日は、「縮尺」を使いこなせるようになることが、
1時間の中での目標でした。
地図上で1㎝ならば、実際は何㎞か。
「縮尺」を計算に組み込み、さらに「単位」にも気を配ります。
小学生にとっては、これがなかなか難しいようでした。
そこで、地図を見せながら、説明を加えようとした瞬間、
その生徒が日光までの距離を定規で測り、
「にっこうけっこうある・・・。」と言いました。
何を基準に「けっこうある」のかわかりませんでしたが、
恐らく、その生徒が学校の宿泊行事で日光へ行った時はバス移動だったので、
実際の距離がどのくらい離れているのか、
実感が無かったから出た言葉だと思います。
その生徒は続いて、あらゆる県に、定規で次々と「橋」を渡し、
なにやら楽しそうにしていました。
まるで、縮図の中で全国を旅行しているかのようでした。
私は学生時代からずっと地理(のみならず社会という科目全般)に疎く、
地図帳や路線図を見ると辟易してしまうのですが、
興味津々に地図を見る人間を、実際に目の当たりにすると、
その「楽しい」であろう感覚を共有したくなりました。
実際に行ったことのある場所でも、
行ったことのない場所でも、
印刷されたインクを見ることだけで、
あたかもその場所へ行ったかのような旅行気分を楽しむ、という
高い想像力を必要とする、知的な活動をしている様子に、
その生徒の頭の中の縮図を垣間見たような感覚でした。