無いことを証明
こんにちは。新川教室の佐々木のぶです。
ある事実や事物がこの世に存在しないことを証明するのは難しいと考えられています。
ある界隈では「証拠が無いことは、無いことの証明にならない」という格言があるそうです。
ただ絶対無理という訳ではありません。
例えば数学の世界で無いことが証明されている事実があります。
それは方程式に関するものです。
中学3年生で2次方程式を習いますよね。
理解して解けるようになってくると結構楽しいんじゃないかと思います。
数学に興味がある人であれば3次方程式、4次方程式、5次方程式・・・とかいけんのかな?
なんて考えることもあるかもしれません。
いけますね。
昔、代数学をやっていた人たちは3次、4次、5次・・・といった高次の方程式に挑んでいきました。
18世紀末に至って 数学界の2大巨頭の1人、ガウスが
方程式には必ず解があるよ(注1)という「代数学の基本定理」(注2)を証明しました。
(注1)とってもざっくりとした表現。専門家の方、本当にごめんなさい。
(注2)何という厨二病をかき立てるのに十分すぎる言葉の響きでしょうか。
方程式には解があるんです。
ところで2次方程式には解の公式という解き方がありました。
理解すればとっても便利な公式です。
高次の方程式にも解の公式があるんじゃないかと考えるのはとても自然なことだと思います。
実際、16世紀前半に 3次方程式や4次方程式の解の公式は発見されました。(激ムズです。。)
当然次は5次方程式の解の公式だ!となりますよね。
恐らく数多の超絶あたまのいい人たちが挑んだんだと思います。
が、なかなか解の公式は発見されませんでした。
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そして19世紀前半 アーベルによって、5次以上の高次方程式には「解の公式が存在しない」ことが証明されます。
その数年後には後の代数学を一変させる理論 – 20歳で没した若き天才ガロアによるガロア理論によって
方程式に解の公式が存在するための条件が(とっても難しいですが)簡潔かつ明快に示されます。
「解の公式で解く」 を正確に表現すると 「代数的に解く」となります。
古くから代数学の研究対象であった方程式が、「代数学の基本定理」によって解が存在することが証明され、
そして高次方程式になるとその解は「代数的に解けない」という結論に至ります。
では、「代数的に解けない」んだから5次方程式はあきらめようぜ。
となるほど数学の世界はヤワではありません。
代数的に解けない方程式の条件を明快に示したガロアも、
代数的ではない方法によって5次方程式を解くアイデアを持っていたようです。
ただ若くして亡くなってしまったためその実現には至りませんでした。
そしてガロアの没後50年を経て解析的に解く方法が確立されることになります。
さて、
本日12月23日(木)を持ちまして、2021年の新川教室の通常授業は終了となります。
本年一年も過酷な状況が続きましたが、大きな出来事もなく新しい年を迎えられそうです。
みなさま本当にありがとうございました。
25日(土)からは冬期講習が始まります。
引き続き気を引き締めながら進んでいきたいと思います。
2022年もどうぞよろしくお願い致します。
それではみなさま 良いお年をお迎えください。
のぶ