K Yの精神
こんにちは。
新川教室の𠮷田です。
──シックスセンス。
石動先生のブログを読んで、あーそんな映画あったなあ、と久々に思い出しました。
ネタバレ厳禁の、大どんでん返しムービーなのですが、
(完全に余談ですが、5、6年前に発表されたオーストリア映画『グッドナイト・マミー』が同じ構造の作品として秀作です)
英語の原題は『The Sixth Sense』、
字義通り、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚に続く、“第6感”=“6番目の感覚”のことなのです。
しかし、だからといって、邦題を『シックススセンス』としてしまうのは、いかにもナンセンスですよね。
言いにくいし、響きも悪いし、スが多すぎるし……
いやでも、“6番目の”という序数なんだから、やっぱりシックススにするべきでは……?
そんなの関係ねえ!
ここはどう考えても、『シックスセンス』が正解でしょう。
映画のタイトルで大事なのは、英文法的な正しさではなく、作品イメージの伝わりやすさなのですから。
そこへ来て、伝説のアニメ『聖闘士星矢』(セイントセイヤ)です。
中学の英語の教科書「New Crown」でも『Knights of the Zodiac』として紹介されていますね。
──セブンセンシズ。
第6感を超えた“第7感”のことで、これに目覚めないことにはラスボス級と戦えない、超マストな感覚なのですが、
Seven Senses って、“7つの感覚”って意味ですよね?
シックススセンスと同じ文法的見地からいえば、
正しいのは「The Seventh Sense」(セブンスセンス)です。
でも、そんなの関係ねえ!
ここはやはり、“セブンセンシズ”でなければならない。
だってその方がカッコいいから!……響きが!
アニメ放映当時、全国の小学生たちが目覚めたかったもの──それは、
「セブンスセンス」ではなく、「セブンセンシズ」に他ならなかったのです。
してみると、物語の舞台がギリシアのアテネなのに、どうしてラスボスが「教皇」(ローマ法王)なんだ⁉︎ (十二宮編)とか、
1秒間に100回以上パンチを繰り出さないと音速を超えないから85回じゃ足りないってシャイナさんは言うけど、腕の往復を考えたら50回でいいんじゃないのか⁉︎ とか、
そもそも「ペガサス」じゃなくて「ペガスス」じゃないのか⁉︎ とか、
そんな瑣末なことは、どうでもいいことに思えてきます。
そんな学術的正しさより大事なのは、
『ペガサス幻想(ファンタジー)』のイントロが流れたときのバイブス爆上げ感!
ファミコンソフト『聖闘士星矢〜黄金伝説』のアルデバランの壁が高すぎて、人生で初めて味わった挫折!
オモチャ屋や縁日の屋台で、黄金聖衣(ゴールドクロス)のフィギュアを見つけた時の胸の高鳴り!
などを引き起こす、子供心を虜にしてやまないその魅力あふれるダイナミズムなのです。
いや実際、黄金聖衣(ゴールドクロス)、および黄金闘士(ゴールドセイント)は別格なのです。
金色のクロスを纏って、光速のスピードを誇り、セブンセンシズに目覚めた、アテナ(女神)の足もとを守護する正義の闘士──
こんなかっこいい存在が他にあるでしょうか?
聖闘士星矢の英語題が『Knights of the Zodiac』(黄道十二星座の騎士たち)というのも、
実に正鵠を射たタイトルであると頷けます。
(ゴールドクロスは黄道十二星座=誕生日星座がモチーフですから)
何事においても、小さな勘違いや、ケアレスミスはつきものです。
でも物事の本質はそこじゃない。
肝心なのはダイナミズム──
勉強においても同じことが言えます。
漢字のミス、計算ミス、文法のミスは避け難いけれども、
本当に大事なのは、国語や数学や英語のダイナミズムを、
頭でというより、全身でキャッチしながら、
納得感をもって学ぶこと。
テストで良い点をとるのが勉強の目的ではありません。(目標ではあります。念のため)
数字は単なる結果に過ぎない。
国語から学ぶ読書の深さ。
数学から学ぶ数式の美しさ。
英語から学ぶ言語の豊かさ。
そういった学びの本質を知っていれば、
たとえ小さなミスを重ねて、結果悪い点だったとしても、
でも、そんなの関係ねえ!
と胸を張ることができます。
勉強を教えていて悲しくなるのは、
「難しい」とか、「わからない」と生徒がつぶやくときではありません。
(これらはむしろ、こちらのモチベーションアップを促進します)
何より悲しくなるのは、
「勉強って、つまらない」
という声が──実際の音にしろ、無言の叫びにしろ──聞こえたときです。
対象は何にせよ、
“~について学ぶこと” って楽しい!
少しでも生徒たちにそう感じてもらえるよう、
われわれ塾講師は日々奮闘しております。
つまらないより楽しい方がいい──
そんなの当たり前ですよね。